あっという間に2023年となりました。過去5年の長期金利を振り返るとこのようになっています。
これまで日銀の金融政策であるイールドカーブコントロールによって低位安定してきた長期金利ですが、2021年3月に「金利上限」がこれまでの「0.2%」から「0.25%」に拡大され、さらに2022年12月に「0.5%」に拡大されたことから段階的に上昇してきたことが分かります。
足元の長期金利は0.5%となっており、早くも上限に達していますね。
歴史的なインフレを受けて世界で金利が上昇しており、日銀の上限引き上げは実質的な「利上げ」だったと言えます。
今回の変動幅拡大は12月下旬に発表されたことから、まだ完全には住宅ローン金利に反映されていない状況ではありますが、
・固定金利については早晩、+0.25%程度上昇
することは確実ですね。
一方で短期金利については引き続き−0.1%に誘導されていることから
・変動金利については当面変化なし
という状況で、2023年を迎えたことになります。
ちなみに1年前に書いた、「2022年の住宅ローン金利予想」を振り返ってみるとこういうことでした。
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住宅ローン金利予想2022
抜粋すると
・固定金利については+0.2%程度上昇
・変動金利については金利水準を維持
と予想したわけですが果たしてどうだったでしょうか?ということで過去1年の主要銀行の10年固定金利の変遷はこのようになっています。
こうしてみると金融政策が変更になる12月までに結構上昇していることが分かります。一応計算するとこうです。
・長期金利:0.05%→0.25%=0.20%上昇
・住信SBIネット銀行:0.66%→1.28%=0.62%上昇
・三菱UFJ銀行:0.74%→0.87%=0.13%上昇
・みずほ銀行:1.10%→1.55%=0.45%上昇
銀行によってバラつきがありすぎますが、平均値は+0.4%上昇という感じでしょうか?その点では「
固定金利については+0.2%程度上昇」とした予測は外したと言えそうです。残念です。
他方で変動金利については大きな変化はありませんでしたので「
変動金利については金利水準を維持」 という予想は合っていましたね。
では本題である、今年=2023年の住宅ローン金利の予想はどうなるでしょうか?
ポイントとなるのは今年4月で交替する黒田日銀総裁の後任が、どのような金融政策を取るのかという点です。
足元のインフレ率は日銀の目標である2%を大きく上回っていますので、さらなる「利上げ」を行う環境は整っています。
他方で今般のインフレが一時的であるとするのであれば、まだまだ金利を低く抑え、景気を刺激する必要があります。
加えて為替相場がどう動くのかという点も日銀の金融政策に大きく影響しそうです。
インフレ下における円安は日本経済にダメージを与えることが分かりましたので、極端な円安が進むようであれば、日銀としては金利を高めにし、円高に誘導したいものと思われます。
ただ過去1年のドル円の為替相場はこのようになっています。
歴史的な円安もかなり円高に修正されてきました。
また、過去1年の原油相場もこのようになっています。
ハッキリ低下してきているわけですね。
そのように考えると、日銀が更なる利上げを行う必要性はあまりなさそうです。
とは言え1年は長いですし、インフレ率は高いですし、そもそも中央銀行のDNAとしてチャンスがあれば金利を引き上げておこうという行動原則があるように思います。金利を上げておかないと、景気が悪化した時に対応できなくなるからです。
上記の通り日銀総裁も交替しますしね。
そうしたわけで現状の金利動向に、さらなる多少の利上げの可能性を加味して、2023年の住宅ローン金利予想はこのようにしたいと思います。
・固定金利については+0.3%程度上昇
・変動金利については+0.1%程度上昇
つまり固定金利については、長期金利の変動幅拡大以上に上昇し、変動金利については、日銀のマイナス金利政策が終了し、短金利が−0.1%から0%に引き上げられることを想定している、ということになります。
仮に予想通りだったとしても住宅ローン金利は引き続き低水準を維持することにはなりますが。
2023年も皆さんが最高の住宅ローンに出会えることを祈っております。参考になさってください。